事前情報では、後半に山岳があるもののほぼ平坦。
天気は良好で、EASYな600になるはずでした。
「29時間あれば完走できるだろう」そんな目算でした。
それが、あんな地獄に道行になるとわ…
私は東京都民。
4回目の緊急事態宣言も決まり、今回を逃せばいつ出走できるかわかりません。
何としても手堅く完走したい。
グルメを封印し、もちろん一番時計なんて色気はありません。
スタート時はガスっていたものの、追い風に乗って快調に進みます。
と、、、
ゴスッ!!
「へっ?」
ハンドルが前にお辞儀しました。
どうやら私の NewTCR のステムのボルトが緩んだようです。
早速携帯工具を取り出しますが、ライト4灯などがひしめくコックピット廻り。
幅のあるマルチファンクションツールが入りません。
全バラシすることも考えましたが、だましだまし走りながら、4mmアーレンキーを探すことにしました。
主にガソリンスタンドを頼りにして何件も回りますが、4mmのアーレンキーが手に入りません。
各サイズのアーレンキーがよりどりみどりそろっているのに、4mmだけ失われていた時は本当に
orz
↑このぽーずでした。
最終的にPC2でアーレンキーをお借りすることができたのですが、やっぱり、ハンドルのお辞儀を案じて、基本ショルダーに手を置き、ブラケットに指を伸ばすという無理な姿勢を取って走りました。
これが後半に響きまして、箸がまともに扱えないほど握力が失われます。
1日目は曇りのはずでしたが、天気は快晴。
天気予報上の気温は32度程度でしょうが、直射日光下でGARMINの気温計は44度を示します。
この様な気温での600kmは死を意味します。
私は気にして給水をし、たぶん7リッターは飲んだと思います。
ボトルの水は猛暑の中冷たいままでした。
なぜなら、冷たいうちに飲み切ってしまうからです。
それくらい水を飲みました。
そして公園を見つけては全身に水をかけました。
全身びしょびしょになっても、ものの30分でウェアが乾きます。
「16:00まで耐えれば日差しが和らいで、進む」そう自分に言い聞かせて、暑さに抗いペダルを踏みました。
翌日早朝のPC、熱中症で相当数の方がDNF。21人しか夜を越えられなかったと聞きました。サバイバルブルベになってきました。
猛暑に苦しみながらも約300km地点のPCに着弾。
310km付近のR50沿いに快活があるという情報を得て出発。
貯金はありますし、今回は万全を喫してきっちり寝ます。
が、
ピカッ!!!ゴッロゴロゴロゴーーーッッ!!!!
雷雨。
じめはそれほどひどく無かったし、雲の動きから行って追い風だったので、快活目指して走りだしました。
しかし
「だめだこりゃぁ」
滝のような土砂降り、道路は川のよう。
42mmのディープリムがすっかり水没しました。
もう、縁石もキャッツアイも見えません。
このまま走るとホイールを破損する危険もあります。
貯金は惜しいですが、快活迄あと2~3kmという位置ですが雨宿りを決めました。
雨宿りの時間がもったいないので、仮眠をしよう。
でも、ちょっと面白そうな状況なのでツイートしよう。
それが運の尽きでした。
優しいフォロワーさんが即時にリプをくださいます。
その言葉か心にしみて、リプを返したり、フォロワーさんの近々をツイートでおったり。
ほぼ寝れませんでした。
雷雨が上がって、再出発。
いったん快活に向かいましたが、貯金が惜しくなりUターン。
吉野家で補給、コインランドリーで上着だけ乾かし再スタートです。
雷雨でだいぶ貯金を失いました。
だいぶ焦ってきます。
後で聞いた話ですが、雷雨の影響で踏切遮断機が故障、30分足止めを食らったライダーもいらっしゃたそうです。
やはり、そのようなすさまじい雨の中、私には走ることはできません。
次のPCを過ぎたらいよいよ山岳地帯。
店らしい店がなくなります。
林道は雷雨が運んできたがれきに覆われ最悪。
グロス速度がガンガン減ってゆく。
貯金は苦しいし、さほど眠くもなかったのですが、終盤急に眠気が差したらリカバリーが効かない。
暫定2位のライダーに追いつけたのを契機に仮眠を決意しました。
30分寝ておけばマイクロスリープなどのリスクは回避できる。
2位のライダーさんと走りながら仮眠場所を物色。
山の中でバス停留所のベンチを見つけて仮眠を決行しました。
上着は乾かしてあったので、屋外でも寒くはありません。
約30分後。
車が横切るエンジン音で目が覚めました。
頭はすっきりしております。
隊長に手ごたえを感じ、ペダルにクリートをはめる。
ここから猛チャージ。
次のPCまでに2位のライダーに追いつけたら、30分の負債を覆して貯金をキープできる。
リスクを伴うチャージは、次のPCまでとし、あとは貯金に物を言わせて安全に走る。
そして何とか2位のライダーに接続。
いったん追い抜いたのですが、さらに追い抜く勢いでついてこられたので、リスク回避のため先を譲りました。
次のPCで1位の方が4時間前に通過したと聞き、二人で唖然。
「あの豪雨の中、走ったのか?」
信じられませんでした。
残り110km弱。
貯金から行って急ぐのは得策ではありません。
久々の長距離で、背中も悲鳴を上げております。
2位の方にはゆっくり行く旨伝えて先に進んでもらいました、背中があっという間に遠く、豆粒のようです。
私はパワーメーターをにらんでワットを2倍程度に抑えて走りました。
この程度なら背中も問題ありません。
脚は物足りなさそうでしたが。
握力もなくなっており、Di2とディスクブレーキでなければ、ちょっと危なかったです。
最終PCでは体調にかなり余裕があったのですが、油断は禁物。
やはりワット数を低めにコントロールして、万全の態勢でゴールに向かうことにしました。
日が昇ってから熱くなるのでは?と、予想しましたが、実は気持ちの良いしとしと雨で、特にのんびり流していると体が冷えて快適です。
このままイージーにゴールかと思ったのですが、そうやすやすとはいきませんでした。
またもや雷雨です。
ゴールまで10km残しての雷雨。
これは雨宿りを考えましたが、道路の中央付近なら走れそうでした。
登り基調で、川になっているのは道路の両端。
真ん中よりなら走れます。
そして田舎道で車通りもほとんどなく、ほぼ迷惑をかけずに車にパスしてもらえました。
念のため、さらに速度を控えめにすれば安全だろう。
私はGIANTの反射素材のウェアを着ていたので、雨の中でも車に見つけてもらいやすいように、あえてレインジャケットは羽織らずにずぶぬれで十王ダムにゴールしました。
32時間30分。
凡庸なタイムでしたが、これで3番時計と聞き、びっくりしました。
ベテランすらてこずる、並々ならぬ、タフなブルベだったようです。
一番時計の方は別格で、27時間16分。
暑さも豪雨もものともせず走られた、正に鉄人ですね。
私はそもそも貧脚ですし、堅実な走りしかできません。
いつもその場の局面に応じて、一番リスクの小さい選択をします。
最後にウェアのご紹介。
夏用の長袖インナーとロングタイツです。
このおかげで直射日光の攻撃を避け、かけ水も素足よりは長持ちしました。
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なんにせよ、緊急事態宣言が続く中、貴重なBRMで600のメダルを確保できてよかったです。
いじょうです。